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思ったこと、色々。 [不妊の気持ち]

 休み周期もリセットを迎え、また新しい周期に入っているのですが、初めて移植に至った前回の周期を通して色々思ったことがあったので、記録しておきたいと思います。


[かわいい]自分の分身
 初めて自分の卵子が存在することを確認できた。自分の分身がこの世に存在するのだと分かって、不思議であるけど愛おしい気持ちになった。自然発生的な、No Reasonな気持ち。自分のことを愛おしく思うことができるようになったからなのかな、と思った。エゴや欲はある。けど、自分を慈しんで大切にする気持ちが、私はどちらかというと希薄だったように思う。自分を大事にできるようになっていたこと、自分の分身に教えてもらったような気がした。


[かわいい]与えられためぐみ
 受精した卵の写真をもらって、暇があればよく眺めていた。膜は大気層に見えて、その中できれいに分割している割球は生命活動の象徴に思えた。受精卵と地球の姿が重なった。 

私達、みんな最初はこの姿だったんだよ……。
 
たまご.JPG


 梅雨入り前の青空を見上げて、培養室と私の胎内しか知らない卵にきれいな青空を見せてあげたい、と思った。この世の中は美しいもので溢れているんだよ、って教えてあげたかった。
 でも私達、この世界を大事にして生きているの? 今いる場所が元はどんな姿だったか知ってる? 地球を造り出したのは人間じゃないのに、与えられためぐみにどれだけ感謝して人間は街をつくってきたんだろう。アスファルトとコンクリートのこの世界。

The_Earth.jpg



 ヨーロッパの街並みが美しく感じるのは、創造主に対する賛美や感謝が根本にあるからなんじゃないか、と思った。卵を通して地球の大切さを思ったんだ。


[かわいい]命の終わり
 卵が着床しなかったことが分かって、私の体のせいで卵の命を止めてしまった、と、しばらく自分を責めて落ち込んでいた。体調が整っていないのに、子どもが欲しくて命を作って、無駄にしてしまった、と、罪を負った気持ちになっていた。
 
 そんな私を見て、旦那さんは「僕の分身は一日に何千ってダメになっているんだよ」と言った。精子君はどんどん作られてどんどん捨てられていく。赤ちゃんとして世に誕生するのは熾烈な競争を勝ち抜いた1匹だけ。
 私の卵も、卵巣の中にいる卵予備軍から選ばれし1つだけが排卵される。毎周期、ノミネートされて選ばれなかったいくつかの卵胞は「はい、さようなら」で終わってしまうのだ。
 もしかしたら私の体の中に過去に受精卵ができていたとして、着床できずに終わったものもいたかもしれない。私達の気づかないところで、終わってしまう命がある。体外授精をして、体内で行われているものを可視化した分、気づかずに済んでいた命の終わりまでも分かるようになってしまった。
 
 その後、知り合いの方が急遽されて、お通夜に出席したことがあった。そこで聞いたお説教は、「命の終わりは誰にでも平等にある」というものだった。私達はそのことを忘れがちなのです、と。
 命が与えられれば必ず終わりが来る。私が卵をだめにしたのではなくて、卵の命の終わりは私のお腹の中だった、ということなのかな、と思うことができた。

 でも、私のお腹の中で命が終わってしまってゴメンなさい、という気持ちは今でも消すことができない……。


[かわいい]2人で子育てを妄想
 妊娠判定がマイナスだと分かった後、旦那さんと2人の時に大声で「うわ~ん」と泣いてしまったことがあった。その時、二人で初めて「子育ての理想」みたいな話をした。超リアリストの旦那さんが、「未来予想図」的な話をすることは滅多にないので、すごく意外だった。

 「僕はできればサッカーじゃなくて野球をさせたいんだよね」と語り始めて、旦那さんの中ではすっかり男の子前提になっていたのでびっくりした。以前記事に書いた「卵子君」じゃないけど、旦那さんにとってはどうやら同性の子の方がイメージしやすいみたい。
 続けて、「弓道を習わせたい」とのたまった[目]。きゅ、弓道ね…、渋いな~[あせあせ(飛び散る汗)]。でも日本の伝統的なものを習わせるのは賛成[手(パー)][exclamation]と思った。
 私自身は、その子が「何かやりたい」と思ってくれたら(現実的にできるものなら)なんでもさせたいな~、と思っている。
 私を慰めるためだったけど、子育てを思い描くくらい、実は旦那さんも2人の子どもを欲しいと思ってくれてるんだ、と分かってすごく嬉しかった。


[かわいい]子どもが欲しいわけ
 不妊の悩みのことで、ある人から「ここを読んで、そして祈ってみて」と言われた。旧約聖書サムエル記上の1章。ユダヤ人にとっての最初の「王」が誕生する経緯の部分。
 子を授からず悩むハンナに、夫のエルカナはこう言ってきかせる。「このわたしは、あなたにとって十人の息子にも勝るではないか」。

 うちの旦那さんもそう思ってくれてるのかな、と思った。私にとっても、旦那さんは私達の子ども10人より勝る人。でも、それくらい大事な人だから、私は旦那さんの子どもが欲しいのだ、と気づいた。
 命のバトンを次に渡すため、お互いの両親に孫の顔を見せたいから、と今まで子どもが欲しい理由を考えていた。でも、旦那さんを愛しているから子どもが欲しい。どうして子どもを欲しいと思うのか、はっきりした答えが見えた気がした。


[かわいい]卵への思い入れ
 今回、初めて確認できた唯一の受精卵だった、ということで、自分でも気づかないうちに相当期待をかけ、思い入れをしていた。もしも卵が着床し、妊娠に至って順調に育ってくれたら、多分3月くらいに出産だったと思う。
 3月は私達夫婦の結婚記念日の月であり、亡くなった私の兄の誕生月でもある(偶然だけど、私達が挙式をした日と兄の誕生日は同じ日なのです)。
 卵が世に産まれてくれたら、兄の生まれ変わりになるんじゃないか、と勝手な期待を抱いていた。そして卵がいなくなった悲しみを、兄を失った喪失感に重ねていたんだと思う。
 こんなプレッシャーかけられたら、卵だって生まれてきたくないよね……。


[かわいい]不妊の辛さ
 よく、「不妊の辛さは待つ身の辛さだ」と聞く。でも、そんな単純なものじゃない、と思う。
 私が思っている辛さの第一は原因不明の辛さ。頭の中ではいつも原因を追いかけ、ちょっとでもリンクしそうなものを調べてしまう。はっきり言って、不毛。医学で解明できないものを私が分かるわけないんだもの。しかも、「不妊によい」とされる代替療法、サプリメントはことごとく高価なものばかり……。
 第二は、生命の営みからも、社会のあり方からも自分が外れているという辛さ。小さな虫や植物達でさえ、次の世代を残していくのに、自分は残すことができない。子をつくることで家族となり、社会に参加していく世のあり方に入っていけない自分。圧倒的マイノリティーである辛さ。
 そして第三は加齢と向き合う辛さ。「35歳過ぎたらガクッと体が変わるよ」と、年上の人に言われていた。その通りだった。ここ1、2年で明らかに体が変わった。ほうれい線みたいなのができて、顔の印象が老け込んだ。全然肉のなかった腕がぽちょぽちょするようになった。首がざらざらするようになった……、などなど。見た目の加齢は、卵巣と卵子の老化を否が応でも思い起こさせる。時限爆弾のタイマーがカチカチいってるみたい。ホルモン値の悪さを毎周期確認することで、タイムリミットが迫っていることを実感させられる。


 ……それにしても、望んでいるのに子どもを授かれない、この辛さって一体なんだろ[exclamation&question]

 最近、子どものいない人生を、より現実的に考えるようになった。今までは、そうなったらどうしよう、という仮定で考えていた。でも、子どもを授かることの方がきっと難しいんだ。奇跡なんだと思う。授かることができたらめっけもん、なんだろうな。
 そういう諦めの気持ちで挑むには、1回30万円近い体外授精の費用はとてつもなく大金に思えるのです……[もうやだ~(悲しい顔)]

 幸いと言うべきかどうか分からないけど、不妊の辛さは一生続くものではない。閉経と同時に終了する。ただ、その先、子どものいない人生の苦しみはまだ思い至ることができないけど……。
 
 だから、「終了」までの期間、頑張ればいいんだ。何をすべきか冷静に考えて、それを行おう。今はとにかく、体調が万全だと思えるようになりたい。睡眠と食事と運動のバランスを考えていこう。

 いつか、今の辛い時期を俯瞰できる時がくると信じている。振り返って、あの時あんなに辛かったけど、今はもう大丈夫、って思えるようになりたい。その時、子どもがいるかいないかは分からないけれど。
 不妊の苦しみに飲み込まれないで、未来の私が今の私を見るように、自分自身を客観視できるようになりたい。

 ちょっと(ていうか、かなり[たらーっ(汗)]古いけど
 



Time will tell 時間が経てば分かる
……
きっと、きっと、きっと
  
そう信じられるようになりたい。


※勝手なぼやきにお付き合い頂いてありがとうございました。m(_ _)m


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